2025年公開の映画『国宝』は、歌舞伎界を舞台にした重厚な人間ドラマとして話題になっています。原作は吉田修一さんの小説で、主人公・花井喜久雄(演:吉沢亮)が「国宝級の女形」へと成長していく姿を描いた物語です。
観客の間では「このキャラ、誰かモデルがいるのでは?」「実在の歌舞伎役者が元ネタ?」という疑問が多数あがっています。Google検索でも、坂東玉三郎さんや六代目中村歌右衛門さんの名前が候補として表示されるほどです。
この記事では、公式発表・原作者の言葉・歌舞伎史・キャラクター設定を踏まえつつ、『国宝』は実在の人物がモデルなのか?似ていると言われる人物は誰なのか?を分かりやすくまとめていきます。
映画『国宝』は実在のモデルがいるの?【公式の立場】
まず最初に、もっとも重要なポイントとして、原作者・吉田修一さんも監督の李相日さんも「特定のモデルはいない」と明言しています。
原作者は3年間、実際に歌舞伎の黒衣を着て裏方に入り、楽屋や舞台裏で徹底的に取材。その膨大な経験をもとに物語を作り上げていますが、誰か一人をモデルにしたわけではありません。
つまり、公式には『国宝』は完全フィクションであり、伝記映画ではないということになります。
それでも“モデル説”が出る理由とは?
モデルがいないにもかかわらず、ファンの間で「この人がモデルでは?」という憶測が出るのは、作品に登場する設定が歌舞伎界の現実と驚くほど重なっているからです。
- 血筋と家柄を重んじる世界
- 名跡(家の名前)を継ぐプレッシャー
- 芸養子として迎えられる文化
- 女形の象徴的存在感
- 若手スターへの嫉妬や期待
このリアルさが、読者に「実在のモデルがいるのでは?」と思わせてしまうわけです。
主人公・花井喜久雄のモデル候補と言われる人物
GoogleのAI検索でも名前が挙がるように、もっとも有力とされているのが坂東玉三郎さんです。さらに、六代目中村歌右衛門さんの影響を指摘する声もあります。
◆ モデル候補①:坂東玉三郎
共通点:
- 血筋ではなく歌舞伎の家に育てられた経歴
- 若くして女形として圧倒的な人気を獲得
- 「国宝級」と語られる評価
- 本人の存在そのものが“芸の象徴”と言われる
主人公・喜久雄が「任侠の家→芸養子→天才女形」という設定で描かれる点は、玉三郎さんの“家ではない場所からスターになった”構図と重なります。
◆ モデル候補②:六代目 中村歌右衛門
小野川万菊のモデル候補として名前があがる人物。
共通点:
- 女形の名門に生まれたサラブレッド
- 生まれながらに家の格と期待を背負う
- 若い頃から芸の世界で中心的存在
小野川万菊というキャラクターの「名門の重圧」「家の伝統を象徴する存在」は歌右衛門さんのイメージに近いため、ファン考察ではよく名前が挙がっています。
では愛之助(片岡愛之助にあらず)のモデルは?
愛之助というキャラ名から“片岡愛之助”を連想する人もいますが、作中の愛之助は完全にフィクションであり、実在の役者とは関係ありません。
役柄としては、「才能はあるが家柄の呪縛に苦しむ若手歌舞伎役者」という、歌舞伎界に実際に存在する典型的なキャラクター像を象徴しています。
『国宝』のキャラは“複数の実在人物”の要素が混ざっている説
最も有力な見方は、“誰か一人ではなく、歌舞伎界の複数人物の要素をミックスしたキャラクター”という説です。
歌舞伎界には、
- 家柄に縛られる者
- 異能の才能でのし上がる者
- 名跡の継承に苦悩する者
- スター性で時代を変える者
…といった人物が多く存在します。『国宝』の登場人物は、この「歌舞伎界の実像」を象徴するように作られており、特定の一人に当てはめるより、複合的なモデル像と考える方が自然です。
まとめ:『国宝』は実在モデルの物語ではなく“歌舞伎界そのものがモデル”
映画『国宝』には公式なモデルは存在せず、特定の歌舞伎役者の人生をそのまま描いた作品ではありません。
しかし、主人公の喜久雄が「坂東玉三郎さん」に似ている点や、小野川万菊が「六代目中村歌右衛門さん」を連想させるなど、複数の実在人物の要素が散りばめられているのは確かです。
『国宝』は、歌舞伎界の伝統や文化、芸の継承の厳しさを象徴的に描く物語であり、実在の人物を超えた“普遍的な芸の世界のドラマ”として楽しむのが正しい見方といえます。