伝説のバラエティ番組「めちゃ×2イケてるッ!」が「めちゃ×2メチャってるッ!」として復活。
フジテレビの看板番組として1996年から22年間にわたり放送された「めちゃイケ」が、2025年秋、FOD(フジテレビオンデマンド)で限定配信として帰ってくることが発表されました。
しかし今回の復活は、地上波ではなく“配信限定”。いったいなぜこの選択がされたのでしょうか。
めちゃイケ復活はFOD限定配信で始動
今回の「めちゃイケ」復活プロジェクトは、制作:吉本興業、製作著作:FANY Studio。
チーフプロデューサーは工藤翔平さん(吉本興業)、総監督は片岡飛鳥さんが務めます。
岡村隆史さん、加藤浩次さん、よゐこ、有野晋哉さんなど、オリジナルメンバーの一部も出演予定です。
注目すべきは、配信プラットフォームが「FOD独占」という点。
つまり、フジテレビが制作に関わっていながらも、地上波放送は行わず、完全に配信で展開されます。
「めちゃ×2メチャってるッ!」番組概要
第1部 『めちゃ×2メチャってるッ!あきらめたらそこで試合終了ですよスペシャル!!』(全5話)
<配信>
10月10日(金)0時~配信開始
※配信日時は予告なく変更となる場合があります。予めご了承ください。
第2部 『めちゃ×2メチャってるッ!7年ぶりに起こせよムーヴメントスペシャル!!』(全7話)
<配信>
11月15日(土)0時~配信開始
※配信日時は予告なく変更となる場合があります。予めご了承ください。
<出演>
ナインティナイン
JO1、INI、DXTEEN、ME:I、IS:SUE
レインボー、コットン、ニューヨーク、鬼越トマホーク、オダウエダ
江頭2:50
濱口優(よゐこ)、大久保佳代子(オアシズ)、山本圭壱(極楽とんぼ) 他
<制作・スタッフ>
製作著作:FANYStudio
制作:吉本興業
チーフプロデューサー:工藤翔平(吉本興業)
総監督:片岡飛鳥
地上波で放送されない理由①:視聴率より“採算性”が重視される時代に
地上波テレビの黄金期を支えた「めちゃイケ」ですが、現在のテレビ業界では状況が大きく変わりました。
1本あたりの制作費は高騰し、視聴率が10%を下回ればスポンサー離れも起きやすくなります。
一方で、FODのようなサブスク型の配信サービスは、視聴者の直接課金で収益が得られる仕組み。
つまり、“スポンサーに縛られずに自由な番組づくりができる”という強みがあるのです。
地上波で再放送を狙うよりも、FODで限定配信したほうがリスクが少なく、確実に収益化できる。
フジテレビとしては、「懐かしの人気番組」を再活用するうえで、最も合理的な選択だったといえます。
理由②:若年層はテレビよりスマホで“笑い”を見る時代
「めちゃイケ」が終了した2018年以降、テレビ視聴の中心層は40代以上に移行しました。
10〜30代の若者はYouTubeやTikTokでお笑いコンテンツを楽しむ時代。
フジテレビとしても、かつて“テレビっ子”だった世代+若年層の両方に刺さる形を探していました。
そこで選ばれたのが、配信プラットフォームFOD+FANY Studioの連携。
「スマホで観る“新しいめちゃイケ”」という構想は、時代の流れにぴったりなのです。
理由③:制作現場の自由度とコンプラ回避
昔の「めちゃイケ」といえば、体を張ったロケ、下ネタギリギリの笑い、ドッキリなどが魅力でした。
しかし現在の地上波では、放送倫理やBPOの基準が厳しく、当時のような演出は実質的に不可能です。
一方、配信であれば編集の自由度が高く、地上波ほど“放送コード”に縛られません。
出演者のスケジュールも柔軟に調整できるため、“昔のノリを現代的に再現”することができるのです。
つまり、FOD配信という形は「規制を避けつつ、かつてのめちゃイケらしさを取り戻すための最適解」でもあります。
理由④:チーフP・工藤翔平氏が描く“ポスト地上波バラエティ”
今回の復活でチーフプロデューサーを務めるのは、吉本興業の工藤翔平さん。
「華大さんと千鳥くん」「新しいカギ」「マンガ沼」など、人気お笑い番組を手掛ける若手の実力派です。
工藤さんは、タレントのマネジメントと映像制作の両方を経験しており、
お笑い現場とメディアの両方を理解しているバランス感覚の持ち主。
“ネタを活かす番組づくり”を得意とし、次世代バラエティの形を探る存在でもあります。
その工藤さんがチーフPを務めることで、今回の「めちゃイケ復活」には、
懐かしさと同時に「新時代の笑いへの挑戦」という意図が込められていると考えられます。
理由⑤:FANY Studioとフジテレビの戦略的タッグ
制作を担うFANY Studioは、吉本興業とNTTドコモが共同出資して設立した新しいエンタメ企業です。
映像・音楽・ライブなどを横断的に展開し、配信特化型のプロジェクトを数多く手掛けています。
つまり今回の「めちゃイケ復活」は、
吉本(芸人・制作力)+FANY Studio(資本・技術)+フジ(プラットフォーム)
という三者の連携による“新しい時代のテレビショー”。
地上波でなく配信を選んだ背景には、
番組制作の自由度を保ちながら、リスクを最小限に抑える戦略的判断があるといえるでしょう。
理由⑥:中嶋優一Pの存在も影響か?
フジテレビの中嶋優一プロデューサーといえば、
「めちゃイケ」「はねトび」「逃走中」など、フジの黄金期を支えた名プロデューサーです。
近年はFODや配信事業の企画側にまわり、地上波から配信への移行を推進する立場にあります。
つまり、「めちゃイケ復活」を地上波ではなくFODで行うという方針には、
この中嶋Pのビジョンも反映されている可能性が高いのです。
懐かしの番組を“配信で再構築”するという流れは、
まさに中嶋Pがフジテレビ内で進めている“ポスト地上波戦略”の延長線上にあります。
まとめ:「地上波ではできない笑い」をFODで
「めちゃイケ」復活がFOD限定となった理由は、単なるコスト削減でも懐古企画でもありません。
それは、地上波では表現しきれない“今の笑い”を形にするための新しい試み。
時代は変わり、テレビと配信の境界もどんどん曖昧になっています。
地上波では難しい企画を、配信で自由に実験できる——それこそが、令和のバラエティの進化形。
「懐かしいのに新しい」
そんな“新生めちゃイケ”が、どんな化学反応を見せるのか。
このFOD配信は、テレビの未来を占う実験場になるかもしれません。