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小室哲哉 vs. ビーイング系 90年代J-POPを制した“2大サウンド”は何が違ったのか?

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小室哲哉とビーイング系が90年代に“音楽シーンを二分”した理由

90年代の日本の音楽シーンは、CDヒットの歴史の中でも最も華やかで、最も変化が激しい時代でした。その中心にいたのが、小室哲哉(TM NETWORK〜globe・trfのプロデューサー)と、ZARD・B’z・倉木麻衣を擁したビーイング系。この2つの勢力は、それぞれ異なる作曲手法・サウンド哲学・マーケティング戦略をもち、結果として「音楽シーンの両輪」として90年代を形作りました。

この記事では、小室系とビーイング系の音楽的違い、宣伝手法、ブランディング戦略などを専門的かつ分かりやすく分析します。単なるヒット曲紹介ではなく、“なぜ覇権を争うほど人気になったのか” を深掘りしていきます。

小室哲哉の音楽と制作手法

小室哲哉の楽曲は「コードはシンプルだがメロディラインが動く」「シンセを中心としたデジタル主体のアレンジ」が特徴です。
特に有名なのが 小室進行(Em–F–G–Cなどのマイナー系ループ)で、切なさと疾走感を同時に生む構造が、90年代の“TKサウンド”を支えていました。

また、小室哲哉はプロデューサーとして「声の質感」「本人のキャラクター性」を最重視。歌唱力よりも“声の個性”を楽曲に溶け込ませるアプローチで、安室奈美恵、globe、trf、華原朋美などを一気にスターダムへ押し上げました。

制作は打ち込みが中心で、メロディ・コード・アレンジをほぼTK本人が統括。スピード感ある制作体制が、90年代の音楽市場が求めた“ヒットの量産”と噛み合っていました。

ビーイング系の音楽と制作手法

ビーイング系(B’z・ZARD・DEEN・WANDSなど)は、小室系とは対照的にギター主体のバンドサウンドが中心。
編曲はスタジオミュージシャンが担当する“職人型の制作体制”で、音の厚み・バンド感・生演奏の質を重視していました。

コード進行は王道進行(C–G–Am–Fなど)が多く、聞き馴染みがよく、サビで大きく開く“歌いやすいメロディライン”が特徴。ZARDの「負けないで」やDEEN「このまま君だけを奪い去りたい」はその代表例で、カラオケ文化とも相性抜群でした。

ビーイングは複数の作家チームで曲を量産し、クオリティ管理を徹底。安定したサウンドと方向性を維持しつつ、ブランドとしての統一感を築いていました。

宣伝戦略とメディア戦略の違い

小室系とビーイング系の最大の違いは「売り出し方」です。

■ 小室哲哉:メディア露出を強みにした“スター創出型戦略”
・本人がテレビに出る
・アーティストも積極的にメディア露出
・ダンス・ファッション・時代性をセットで売り出す

特に安室奈美恵のファッション(アムラー)は、小室系のブランディングが社会現象級に拡張した成功例と言えます。

■ ビーイング:メディア露出を抑えた“ミステリアス戦略”
・ZARDの坂井泉水はほぼテレビに出ない
・B’zもトーク番組にほぼ登場しない
・楽曲・詞の世界観で勝負

メディアに出ないことで“神秘性”が生まれ、逆にファンが増える仕組みを作り上げました。

タイアップ戦略とビジネスモデルの違い

90年代の音楽業界でヒットを出すために欠かせなかったのが、テレビドラマやアニメのタイアップ。これも両者で戦略が異なります。

■ 小室哲哉:トレンドを読み切り、若者の“今”に寄せる
安室奈美恵、globe、trfは若年層向け番組やバラエティと相性が良く、スピード感あるプロモーションでヒットを拡大しました。

■ ビーイング:ドラマ・アニメ界との強い連携
・ZARD「負けないで」ドラマ・スポーツ番組
・DEEN「瞳そらさないで」
・倉木麻衣は『名探偵コナン』で長期的なヒット

“作品の世界観とリンクする楽曲”を提供し、長期間売れる楽曲を多く生みました。

なぜ覇権争いが起きたのか

覇権争いが起きたのには、90年代の音楽市場の構造が深く関係しています。

① CD市場が史上最大の規模に成長していた
90年代のCD出荷枚数は年間3〜4億枚。
市場に“勝者総取り”の構造ができ、トッププロデューサーは莫大な影響力を持つようになりました。

② タイアップがヒットの鍵だった
テレビドラマが毎週20%超えの視聴率を取り、そこで流れる主題歌は圧倒的な宣伝効果に。

③ 若者文化がテレビ中心だった
ファッション、音楽、流行語、すべてテレビが作り出していた時代。
その中心にいたのが小室系とビーイング系だったのです。

筆者の考察:小室系とビーイング系は“対立”ではなく“両輪”だった

競い合っていたように見えますが、実際は“同時代の別ジャンル”として共に90年代を支えた存在でした。
小室系は「都会のスピード感とデジタル感」、ビーイング系は「普遍的なメロディと歌いやすさ」。
この対照的な2つの翼があったからこそ、90年代の音楽は“黄金期”になったと言えます。

まとめ

小室哲哉とビーイング系が覇権を争った背景には、音楽的手法、制作体制、宣伝戦略の違い、そして90年代という時代性がありました。
・小室哲哉=デジタル・ダンス・メディア露出
・ビーイング=生音・王道進行・ミステリアス戦略

この2つが同時期に存在したことで、音楽シーンは多様性と競争をもち、結果的に名曲が次々と生まれたのです。

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この記事を書いた人

80年代生まれで90年代に青春時代を過ごした芸能エンタメ好きな中の人が、芸能・スポーツ・政治など、幅広い情報をわかりやすくまとめています。

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